日本全体のマクロで見た漁業所得の向上(=売上の増加)をさせるためには、大きく分けて2つで、生産量を増やすことと、単価を上げることです。
この2つは当然ながらとても重要なことで、資源管理を始め取り組んでいかなかければいけないことですが、限界があることも事実です。
まず、生産量に関しては、世界全体でみても、海面漁業の生産量は頭打ちであって、これ以上漁獲量を大幅に増やすことは困難で、いかにして資源を減らさずに持続的に獲っていくかが課題と考えます。養殖はまだ大きく伸びる余地がありますが、餌の問題などはあります。
単価の向上についても、ある程度は見込まれると思いますが、あまりにも魚の価格が上がってしまうと、国民の生活に影響があるので望ましいことではないですし、需要が少なくなってしまうおそれもあります。
そうした中で、パイの大きさを増やす努力とともに、限られたパイをどう配分するかという問題も生じます。
結局、単純計算で、漁業者数が今の半分になれば、一人当たりの漁業所得は2倍になりますので、漁業所得を増やすためには、漁業者数が減るということも避けて通れないのではないかと思います。
一方で、漁業者数は、無理に減らそうとしなくても、過去20年で4割近くも減少しています。(2003年23.8万人⇒2020年13.6万人)そして、この傾向は今後も続くと思われます。この傾向に歯止めがかかる要素が見当たりませんので、漁業者数は2030年には10万を割り、2040年には今の半分近くになる可能性があるでしょう。
そうすると、今から、将来的にどの程度の人数の漁業者数で、どの程度の漁獲高を上げて、それを維持するためには、どの程度のインフラ整備を残しておく必要があるのか、そういった将来の漁業構造に関する議論をいま行っておくことが必要なのではと考えます。
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